額縁のフックを選ぶとき表記されている耐荷重で十分とお考えですか?
一般には額縁の重さからフックの耐荷重を見て決定していると思います。
ただ、お問い合わせいただいた場合は、地震国日本での使用と言う理由で表記上の耐荷重以上のフックをお勧めしております。
これから書くことは、金物メーカーや他店の額縁取扱店の方々とは考えの違いがあると思いますが、あくまで私個人の見解という事でお読みいただきますようお願いします。
メーカーの示す耐荷重
メーカーが示すフックの耐荷重の設定は一定時間通常の状態で実験を試み、落下しないという結果で決められているようです。
一定時間と言っても 数時間とかではなく 数日あるいは数か月みているようです。
また 落ちるギリギリの重さではなく 余裕も見ているようです。
ですから 通常の状態で 示された耐荷重の物を吊っても問題ありません。
しかし・・・
衝撃荷重とは!
私は建築学部を卒業し現場監督を数年経験したいたことがありますのでいくらかは 構造的なものを勉強しています。
衝撃荷重を説明するのに少し余談が入りますがお付き合いください。
新築工事をするときに必ず足場と言う仮の構造物を建築物の周りに設けます。
この仮の構造物を仮設足場と言います。
仮設足場を設ける時に、高さ10m以上かつ組立開始から解体終了までの期間が60日以上のものは、近くの所轄労働基準監督署に届出を出す義務があります。
この時に特殊な足場を計画した場合一緒に仮設足場の構造計算書も添付します。
この仮設足場の構造計算をする時に 必ず考えないといけないのが 衝撃荷重と言う物です!
物は重力の影響で上から下に通常は一定の荷重がかかっています。
しかし、何時も一定の状態と言うことは 無いという事です!
日本には地震と言う物があり横揺れの場合は大きく荷重の変動はないのですが、縦揺れの場合、建物が一度上に持ち上がり下に落下します。
この時に物質の荷重は、下に落ちた瞬間だけ2~3倍になると言われています。
これが衝撃荷重です!
衝撃荷重は計算方法が難しいようで、ネットで調べてみましたが正式な計算の仕方が解りませんでした (^^;)
建築の現場監督をしている時に管理部(建築物の配筋検査や仮設足場の構造計算を指導してくれる部署)の方からは、地震発生時には2~3倍の衝撃荷重が発生するので、3倍は見ておくようにと指導を受けていました。
建築関係の管理部から指導を受けたので間違いはないと思います。
額縁の荷重からフックの耐荷重を考える
3倍と言うのはよほどの直下型地震になると思いますし、人の安全を考量した数字ですので そこまで見なくてよいと思います。
そんな地震がおきた場合は家の中は無茶苦茶ですので、額縁が落ちても気にもならないと思います。
ただ 気にならないと言っても 建物が大丈夫なら 額縁も落ちないでほしいですよね!
大き目の地震が起きた時は どれぐらいの荷重を想定しておけばよいのでしょう?
出来れば荷重の2倍は衝撃荷重でかかると考えていただいた方が良いかと思います。
建築の場合人命にかかわるので 必ず衝撃荷重を考えるのですが、フックの場合、額縁だから問題ないと考えられているのでしょうか?
すべてのメーカーではないと思いますが、メーカーに問い合わせをした事がありますが「衝撃荷重は考えていない」と返事をいただきました。
大事な作品にはやはり耐荷重を考えてフックをお選びいただいた方が良いと思います。
具体的に考えます。
額縁が5kgだとします。
額の重さのはかり方:体重計などで計ると良いですが、最近の体重計で 人が乗らないと反応しないものがあります。この場合人が持って計ってからご自身の体重を引いてください♪)
フック一つで吊る場合 5kg×2=10kg となりますので 耐荷重10kgのフックを選ばれたら良いと思います。
フック自身にも耐荷重の余裕がありますので 10kg以上の荷重を受けても大丈夫です。

画像をクリックしてください! アニメーションを見ることが出来ます。
フックを2つ使って吊るした場合の荷重
フックに横の力がかかるのでキッチリ計算すると難しくなるのですが、単純にフックにかかる荷重は1/2と考えて問題ありません。
ですから、額縁が5kgだとすると 5kgの耐荷重のフックを2つ使って吊るしてください。
フックの取付け状態に注意!
あくまで 耐荷重は正確にフックが取り付けられている状態であることが条件です!
例えば、ボード用フックで 釘が緩んでいたり、下地のボードが破損していたりした場合は 計算上の強度は求められないので ご注意ください。